―― 後 編 ―― 「奇襲をかけます。テト攻勢ですっ!!」 昼休み休戦もまもなく終了しようとする頃、本部から通達がありました。午前中のフラッグゲットで意気上がる我々は、歓声をもって答えます。各自、装備の準備に余念がありません。 「突撃ーっ!!」 午前中以上の勢いで総員飛び出していきます。あの夢の勝利をもういちど――力強く大地を蹴り進む我々は、すぐに信じられないものを目の当たりにしたのです。 「ああっ、なんだ!?」 メインルートの分岐点になるバリケードの所に、米帝傀儡軍が殺到していたのです。共産軍得意の人民波状攻撃のお株を奪う勢いでした。またも脳裏に浮かんだのは『ワンス&フォーエバー』のラストシーンです。どちらにしても、ベトコン側がコテンパンにされてしまう場面ですが・・・・(苦笑) 「やべぇ、奴らマジだぞ」 先にバリケードに取り付いた傀儡軍の浴びせかける弾の雨に、たちまち勢いは総崩れ。慌てて物陰に飛び込む者、ヒットされて助けを求める者が続出です。挙句、出遅れて無事だった者は、安全地帯からヤジるばかりという状態になってしまったのです。
「敵襲!! 左翼に敵の先遣隊が進入ッ!!」 本部防衛隊の叫び声でした。最低限の威嚇勢力を残して、慌てて下がる前線部隊。正面の目立つ部隊は陽動だったようです。さすが米帝、作戦立ててるし(笑) などと感心している場合ではありません。一足遅れで本部付近へと戻ってみると、そこはすでに激しい撃ち合いが繰り広げられていました。
「正面のブッシュに1人」 指示系統が混乱する中、手当たり次第に撃ちまくります。しかし、米帝の突撃隊のうまい事。まるでモグラ叩きのモグラのようにピョコピョコと出たり入ったりを繰り返し、致命弾を回避し続けます。その間にも次続きと消えていく同胞。同時に湧き上がる救助要請の声。 「当たったら本部に帰れっ、その方が早いっ」 衛生兵からの帰還指示が飛びます(いいのか 苦笑) 復活には、衛生兵に助けてもらうか、本部まで帰って復活の二通りがあるのです。がぁ、いくら本部が近いからといってもねぇ・・・・(^^; 本部に戻ってみると、そこでは捕虜の尋問が行われておりました。
「こら、コレやったのはおまいらか? ん、どんだ?」 1人の人民兵が、一枚の写真を突きつけて尋問しています。ある男が米兵に頭に短銃を突きつけられているカットでした。その結果は推して知るべしでしょう。(笑) 「こいつは、オラの親友だぁ。許さんで」 人民兵の顔色が変ります。よほど悪名が高いのでしょう。私は知りませんが。 「あいつは悪いヤツだぞっ!!」 と、そういうのは、なぜかそこに同席していたイズミさんです。 「休戦前に捕虜になったとき、ゲリラではない正規兵だから、ジュネーブ条約にもとずく正式な対応を要求したのにもかかわらず、『よく訓練されたベトコン』扱いでひどい目に合わされた。『パンにはパンを、血には血を』だ」 よほどな目に合わされたのでしょう。ニヤニヤと笑いながら言葉を続けていました。 「オレらは悪くないって。悪いのはみんなナカジマ大尉だ」 捕虜の米兵は必死に説得します。 「よし、わかっだ。おまいらは解放してやる。んでも、これキャプテン・ナカジマに渡すとけ」 と、数枚の宣伝ビラを手渡し、捕虜たちを解放したのでした。
「次はねえど」 泣きながら帰って行く彼らを見送ると、再び前線へと戻ります。 そこは相変わらず膠着しておりました。もうバリケード一枚対峙して睨み合いの罵り合いです。一言の挑発で、お返しに弾が100発飛んでくる。まるでどこかの国の戦いのようです(笑) 「私は米・越どちら側でもないが――」 声のする方をふり返ってみると、米軍装備に身を固めたカメラマンの姿がありました。休戦前は、間違いなく米帝傀儡軍側で活動していた人です。己の良心のもとに解放活動に賛同されたようですね(笑)
「なぜ君達は彼らに銃を向けるんだ。君らのやっている事は侵略行為以外のな何ものでもないぞっ」 それに対する傀儡軍の返答は、 「FACK YOU!!」 憎悪の言葉と、前にも増した激しい銃撃です。さすがマイク・ハマーな国の方達(苦笑) とはいえ、膠着状態なのは変らない。我陣営が脅かされ続けているのも相変わらず。しかし、いま一歩決め手に欠けて進展がないのもまた事実です。 そして、とうとうタイムリミットまで後15分となったときでした。特別ルール適用という天の声です。 「米帝傀儡軍は復活なしです。解放軍のみなさん、 力技で押し切りましょうっ!!」 「おおっ!?」 共産軍得意の人海突破作戦の開始です。
後方には衛生兵および本陣が移動してきています。もう怖いものなどありません。後は数でひたすら押し切るという、実戦さながらの状況の再現となったのです。
そのときです。信じられない物を目の当たりにしたのでした。 ―― 奇跡は、起こらないから奇跡っていうんですよ ―― 得意のフレーズが脳裏を過ぎります。しかし、目の前の出来事は本当の事です。一度ならず二度までも敵フラッグのゲットです。これを奇跡といわずなんといいましょう。しかもそれを取ったのが仲間のマッちんだったのですから(笑) 特別ルールの中でとはいえ、これはもう大興奮です。いやぁ、いいものを見られました。
そうしているうちに時間が押し詰まり、今回のゲームは終了となりました。午前、午後、ともにフラッグゲットという、われわれ北越解放軍の完全勝利という『珍事』となりました。いやぁ、楽しいね(笑)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ さすがに二回目という事もあって慣れてきたのか、参加した人それぞれがノビノビと楽しんでいたのが気持ちよかったですね。当然、次も参加いたしますよ。できればネタ込みで(笑) 最後に、今回のゲームを終えて思った事。
-- 今編のいい味大将 -- 主 催 者 様 最初は米軍装備だったのが、終わりにはちゃっかりベトコン。もうホントに日本人(理由は違うと思うけど 苦笑)
★★★ 今回のネタ大賞 ★★★ これは誰がなんといおうと、間違いなくこの方です。いろんな意味でナムー。
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