−− 後 編 −−

 

ゲームは始まりました。が、そんな緊張感はありません。三々五々と散って行く同志たちの後姿を眺めなら、いつものようにのんびりと出発です。だいたい作戦自体が

突 撃 あ る の み !!

しかありませんので、もうどうしようもないでしょう(笑) そうして歩いて行くと、やはり路頭に迷っている同志たちがチラホラ。

「ああ、兵隊さんたちだ。付いてこう」

黒いベトコン服の数人が、我々を見つけると後に付いてきました。こっちも別に何をするってわけではないのですが、ちょっとだけ地の利があるのでそのまま一緒に侵攻です。
そうして、秋口とは思えないほど照りつける日差しの中、まだまだ濃いブッシュをかき分け進みます。今回はフィールド全景の地図(航空写真)がありますので、作戦らしい作戦も立てられ――るはずでした。しかし、実際始まってしまえばそんなもの関係ありませんし。

「でも、ずいぶん白いな」

そう、周りのブッシュが全体的に白く、とても埃っぽいのです。こんな状況は初めてでした。いったいどうしたのかなと思っていると、答えは簡単でした。

「これは、この間の大雨で増水した川が巻き上げた砂だよ。だから足場も悪いんだ」

なるほど。河川敷だから当たり前の事ですな。しかし、これがまた動くたびに舞い上がり、自然の煙幕状態となんてしまうのですから、それはそれで始末が悪い。でも、妙な臨場感を感じてしまうのもまた然り。
などと考えながら進んで行ったのですが、不思議な事になかなか相手に出会わない。特別ルールが適用されている手前、米帝傀儡軍の動きが思ったよりも慎重なようです。感覚的にフィールド半分も進んだ頃だったか、不意に戦闘が始まりました。私のいるルートとは別でしたけど(苦笑)

『アリャ遠いね。こっちは関係ないから、進んでくか』

まったく緊張感のない考えのまま、一団は進んでいきます。
と、先に来ていた同志たちが身を潜めています。

「この先にいるぞ!」

そういわれるが早いか、すぐさま雨のような弾が飛んできました。

「うわっ、危ねぇっ!!」

慌てて避けようと身をおどらせます。が、普段が普段です。加えて油断しきっていた状況では、とてもムリな事でした。まるで吸い寄せられるようにヒットされると、すごすごと今きたばかりの道を引き返す羽目になったのでした――って、一人だけかいっ!?(苦笑)
そうして復活ポイントの戦線本部に戻ってみると、いるわいるわお仲間が一杯。みんなデスノートに復活の呪文を書き込んでは、再びきた道を駆け戻って行きます。当然、私も右にならえでしたけど(笑)
デスノートを見ると、まだ始まって一時間と経っていないというのにもかかわらず、すでに1ページ丸々埋まろうかという勢いでした。これは少人数における人海戦術作戦(そんなものはありませんが 笑)の賜物なのですな。さすがは同志。

そして改めてフィールドへ復帰ですが、もうどこがどうなっているのやらわかりません。あちこちで撃ち合う音がしてるかと思うと、不意に静かになったりして、もう何がなにやら五里霧中状態です。とりあえずさっきと同じ道を戻る事にいたしました。
しかし、こちらも妙な落ち着きがあるのは変りません。ときおりある発砲以外、相手の様子をうかがっているばかりでした。
これは、どうやら米帝傀儡軍側の特別ルールが大きくかかわっていたようです。このルールのために、どうしても慎重な行動を取ってしまいがちになっていたのです。戦力比を正すためのせっかくのルールが仇となってしまったのでした、残念。
しかぁ〜し、そんな事などお構いなし。もう楽しんだ方が勝ちだとばかり、ちょっと前に出ては逃げ戻るという半ば挑発行為を繰り返して楽しんでいたのです。もちろん、何回か前線本部を往復したというのはナイショですが・・・・(苦笑)

そうしてもうまもなくお昼になろうかという頃、

「ベトコンのみなさんは村へ集まってください」

スタッフの方から集合の合図がかかりました。

「これから米軍がやってくるという情報が入りました。みなさん、一般村民のふりをして迎えてあげましょう」

一回目の仕掛けイベントです。その結果がどうなるなんて事は誰の目にも明らかですが、やはり妙なわくわく感は否めません(笑)

 
装備を隠して村人に偽装中。まだ手にしている人もいますけど・・・・(苦笑)
 

しかし、我々は正規軍装備だったので、そのまま村に居る事はできませんでした。しかたなく近くの木陰に身を潜めると、アキコ姉よろしく事の成り行きを見守ったのです。
がぁ、待てど暮らせど米帝傀儡軍はやってきません。ここまで慎重な行動をとるとはいったい誰が想像できたでしょう。時間ばかりがむなしく過ぎていきました。

 
待ちきれず米帝を迎えに行く、ご存知「お坊様」
 

『そろそろ休戦だな』

さすがに待ちくたびれてしまい、お昼も近いという事もあって、本部セーフティーへと帰ってしまったのです。これがその後の大きな後悔の元になるとは思いもしなかったのですが・・・・

セーフティーに戻ってしばらくすると、なにやら村のある辺りが騒がしくなりました。米帝傀儡軍が現れたようです。残念ながらここからは見る事ができませんでしたので、その状況を見ていた者の話です。

「いやぁ、笑った笑った。最初のうちはけっこう紳士的に接してたんだけど、さすがにあの赤ん坊の泣き声のBGMにキレタんだろうね。いきなり態度が変ってさ。まさに『ルウを泣かすなっ!!』て感じ? オレはそこにイデの発動を見たね」

もう何をいっているのかわかりません(笑)が、なにやら大声でやり合っている言葉と、続けざまにおきた射撃音だけは確認しています。

「で、結果は決まってのジェノサイド。近くで隠れて見てたんだけど、味方の指揮官がなかなか助けに行かせないんだもん。もう完全に見殺しというか、状況を楽しんでたね(笑) だから、一通り村人が虐殺されれてから反撃だから」

これがその正体でした。直接見る事ができなかったのが残念なくらい、とってもノリノリな状態だったようです。なにしろ、写真を撮っていると気付いた村人の一人が、

「虐殺死体ならこれだよね」

と、いきなりお尻をむき出したというほどですから。うーん、見たかったぞぉ!!(爆笑)

で、ひとしきり楽しんだ後に救出指令がくだり、あの足元不安な橋を渡って突撃です。弾の雨の中をかいくぐると、もう目の前には傀儡軍の姿。ひたすら撃ちまくるうちにこちらもヒット。相手もヒット。なにやらわからないうちに午前中終了です。いやぁ、楽しいね。

 
村を襲撃した米帝軍を駆逐した様子。
 

午後からは少々ルールの変更がありました。米帝傀儡軍の撤退ルールでは侵攻できないという事で、最初のうちからある程度展開しておくという事です。がぁ、これまた妙に時間がかかる。ただ展開しているわけもなく、なにやら作戦を練っているようです。うーん、凄いな。私らには考えも及ばない事です。しかも、始まってみたらすぐ目の前にいたりするんだから、もう・・・・(笑)

「復活ポイントはこれです。これにタッチすれば即復活です。安心して思いっきり行きましょう」

なので、こちらも負けじと特別ルール。得意の移動復活ポイントです。復活するのに、いちいち本部まで戻る必要がなくなるので助かるのですが、そのぶんひたすら走り回らなければならないので、かえって大変だといえばいえたりするんですけどね。でも、こちらの方が性に合っていますんで助かりますが。お祭なんですから楽しまないとね。

 
復活用フラッグの元に進む我軍
 

という事で、その話をきくやいなや、邪魔な装備品を投げ出して、敵陣へと突っ込んでいったのはいうまでもありません。ブッシュひとつ越えれば、そこにはもう米帝軍がウジャウジャ。引き金に指をかけたままのトリガーハッピー状態で銃を振り回します。もう当たっているかどうかなんてわかりません。ひたすら撃たれて帰ってくるばかりです。そして復活。再びヒット。さらに復活。もう体力が続く限りの無限ループ。慎重に攻めて行く中に混じってひたすら走り回っていました。うー、疲れますぅ。でも、これが楽しいんですよねぇ、うんうん。

そうして体力勝負の一人鬼ごっこを楽しんでいると、緊急指令が入りました。

「本部が米帝軍に占拠されました。至急奪還に向かってください」
「またかい・・・・(苦笑)」

毎度まいど決まったように襲われる本部。今回はフラッグが無いので支障は無いといえば無いのですが、やはり本部が取られるのは気持ちいいものではありません。総員慌てて駆け戻ります。
が、これがまた困った事態となりました。本部は高台の上にあります。もう駆け上ろうとする我々は絶好の的でした。雨のように降りしきる弾を掻い潜りながら前進しようとしますが、しょせんムボーな挑戦です。あっという間にヒットされてしまうので、その場に釘付けです。ここで私も顔面にグレネード弾をまともに浴びました。くぅぅ、気持ちいいよぉ(笑)
などとやっているうちに、我軍の決死隊の突入によって何とか本部を奪還する事に成功いたしました。これで安心して一休みできます(笑)

なととしているうちに、時刻はまもなく終了という頃合となりました。

「残り時間もあとわずか。さぁ、最後の突撃です。これから米帝傀儡軍は復活なしです。我軍はこの移動フラッグが復活ポイントで無制限です。みなさん、力技で押し切りましょう」

このゲーム名物の共産軍えこひいきルールの発動です。ひたすら突撃、突撃、突撃です。当然米帝軍も容赦なく、フィールドはまさに弾の飛び交う阿鼻叫喚の地となりました。もうどこから弾が飛んでくるのかわからず、誰に撃たれているのかもわからない状態で、ひたすら前進して新兵よろしく360度撃ちまくります(苦笑)

 
突撃 その1
 
突撃 その2
 
突撃 その3
 

で、一番問題となったのが、復活ポイントである我軍の旗が、なぜか兵隊を差し置いて最前線へと飛び出して行ってしまう事です。ヒットして戻ろうと思うと、なぜか遙か前方に移動している――生き返って即死するという図式がそこにはありました(笑)

 
なぜかいつも最前線にある「復活フラッグ」(笑)
 


しかし、そんな事はどうでもよかったのです。ひたすら撃たれる快感に酔いしれているうちに終了の時間となりました。

いやぁ、フラッグが無いと聞きいたときにはどうなるものかと思いましたが、 これはされで楽しいゲームでした。ルールがあまり細かくないのもよかったのでしょう。次回は黒パジャマで参加しようと思った一日でした。

 
 

ついでに、終了時に上空を飛んでいたセスナに対して、

「B−52の北爆です。みなさん非難してください。あと、防空射撃は危険ですから止めてね」

好きですこのノリ(爆笑)

 

 

 

戻る

inserted by FC2 system