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天気予報では、曇りのち一時雨という発表だったのにもかかわらず、何かとてもいい空模様となってきました。足元も、思った以上に状態がよく、総合的にはいままでの中で一番よかったかもしれません。しかし暑いよ・・・・

両手に荷物を抱えながら、無事フィールドへとたどり着くと、すぐ近くにセーフティになる通称『カルビ村』がありました。このさらに奥にもうひとつの『サンチェ村』があるという事です。が、誰一人としてわざわざ遠いところまで歩いて行くわけはなく、そのカルビ村の本当に入口の所を宿営地と決めたのでした。

 
  ●カルビ村

我々の拠点です。
しかし、何かいるぞっ!? (苦笑)

 
  ●サンチェ村

カルビ村のさらに奥にある、もうひとつのベトコン拠点。

 


荷物を降ろし腰を落ち着けて一休みしようとしたそのときです。

「あー、いま連絡があって、もう米帝側は移動を開始しているようです。ゲーム開始です」
「なんだってぇ!?」

オイオイ、こちとらいま着いたばかりだってのにぃ・・・・周りを見ましてみても、みんな同じように慌てています。そりゃそうでしょう。そして、すぐ隣には隊長殿の姿がありました。もちろん同じように慌てています(笑)

「えーっと、人民軍兵士諸君。準備はできましたっ?」

スタッフ改め村長改め党政治委員より呼び出しをくらった隊長殿が、慌て眼で声をかけます。そのさまは、まるでNKVDに肩を叩かれたかのようでした。が、幸運にもほとんどの者の準備はかろうじてできあがっておりました。

「あーよかった・・・・って、オレがまだじゃん!!」

ホッとしたのもつかの間、自分の準備が終わっていないのを思い出した隊長殿は、慌てて荷物をひっくり返したのでした。

 
  ●慌てて準備する隊長殿

予想外の始まりにみんな慌ててました。(笑)

 

そしてどうにかやっつけると、

「人民軍諸君、集合!」

何事も無かったかのように再度号令をかけます。でも、もうみんな集まってますって(笑)

「・・・・!?」

そんなやり取りを見ながら、間近でその顔を改めてみると、どこかで見覚えがある事に気がつきました。しばし悩む事ほんの一瞬。

「あ、カメラマンの人じゃない?」

そう、以前のゲームで米帝側の従軍カメラマンをしていて、途中から我陣営に寝返った――もとい人民革命に賛同されたあの人なのではないでしょうか? 一緒にいた仲間にそれとなく確認すると、

「そーだよ。わからなかった?」
「わからんかったから驚いてるんじゃーいっ!!」

なんてことはどーでもよくて、視線をゲームに戻してみると、

「さきほど党政治委員殿より通達のあったように、米帝軍が侵攻してくるようです。各自態勢を整えて待機してください」

隊長殿、必死の説明です。そして本部よりの攻撃開始指令を待ちます。

  待ちました・・・・

  待ってたんです・・・・

  待ちくたびれました・・・・(笑)

前回ならば、ここで飽きてどっかへ行ってしまうのですが、さすがに学習いたしました。ジリジリしながらもどうにか我慢して待ち続けたのです。ま、ゲーム開始一発目というのもあったのは間違いありませんけど・・・・(苦笑)
そうしてぼーと待っている間にも、米帝側が確実に近づいてくるのがわかりました。

「あのブッシュの向こう側、見えるよね?」
「うん、いるね。それもかなりな数だよ」
「あっちの方にもちらちらと・・・・」

拠点にしているカルビ村からも見える場所に、チラチラというか堂々と動いているのが丸判りです。

「なんかさ、このままだと包囲されっぼくない?」
「なんかマズイですよぉ」
「開始早々、包囲全滅ってのはなぁ・・・・」

それはそれで面白いんですが、さすがにそれではまずかろうと、各自思った事を口にしていました。
それなのに、なぜか指示はやってきません。

「党政治委員からの通達が無いんだ。だから、もうちょっと待とう」
「その政治委員って、もしかしたら敵のスパイだったりして」
「こらっ、政治委員殿を疑っちゃいけな――いと思うんだけどなぁ・・・・」

ちょっと不安になってきたのか、さすがの隊長殿もチラチラと村の方へと目をやります。が、依然として指示は出ませんでした。

「ほんと、冗談抜きにやばくなってきましたよぉ、隊長〜〜」

確かにその通りで、その頃になると、目に入るブッシュそのほぼすべてに迷彩柄のヘルメットがうかがえる事態となっておりました。こりゃ取り囲まれたかもぉ?
非難にも似た叫びを浴びていた隊長殿は、そのとき不意に口を尖らせていいました、

「知らないもん!ボク、悪くないもん!」

子供ですかあなたは(爆笑)
そのときでした。とうとつに本部からの攻撃開始の合図があったのです。

「おしゃ! 諸君、作戦開始だっ。米帝どもを返り討ちにしてやろうっ!!」

隊長殿にとって渡りに舟とはこの事でしょう。周囲の目から逃れるかのように、掛け声も勇ましく飛び出していきました。もちろん我々もその後に続きます。
が、すでに展開を終えた敵の真正面から突っ込むんですから、その勢いはすぐに頓挫してしまったのは必定。そりゃ無理もないってね(笑) そのため、見えない敵に対して警戒しつつ、散発的な攻撃を仕掛けるだけに留まってしまったのです。
そんな中でも隊長殿は元気一杯で、我々の間を激励して走り回っていました。

 
  ●開始直後

進出を阻まれた中、隊長殿が檄を飛ばして頑張ってます。
しかし、それでも状況はどうにもならず(苦笑)

 

かと思うと、

「アメリカ軍の諸君、戦いを止めたまえ。いまこそ真の人民革命に共に立ち上がろうではないか。さあ、武器を置いて我々と手を取り合おう」

掌をマイク代わりに、得意のアジテーションを繰返していたのです。

 
  ●アジテーション

隙を見つけては、今回なぜか両軍ともこればっかでした。
笑えたからいいけど(笑)

 

米帝側の返答は、当然のごとく雨のような銃撃でした(笑)

「ダメだ・・・・人民軍諸君、一度後退して態勢を整え直そう」

どうにも埒が明かない状況に、とりあえず出撃地点まで後退です。といっても、ほんの数歩あるくだけなのですが・・・・(苦笑)
それに反して、各所で解放軍同志ががんばっているようで、あちこちで激しい撃ち合いの音が聞こえていました。

「という事で、正面攻撃は解放軍の同志に頑張ってもらうという事で、われわれはホーチミンルートを通って米帝本拠地へ浸透攻撃をします」

何がそいう事なのかよくわかりませんが、いったん後退した後に再突入計画が立てられました。しかも今度は(ムボーこの上ない)真正面からではなく、米帝側が立ち入りできない設定の丘の上の通路を通っての浸透です。 とはいえ、存在自体がバレバレな見通しのいい通路なので、途中に米帝側が待ち伏せしているのは明らかです。でも行くのか・・・・行くしかないよな、俺たち・・・・(苦笑)
というわけで、正規軍はもちろんの事、拠点にしているカルビ村に残っていた解放軍の勢力も巻き込んで、丘の上の王子さま――じゃ無くて、丘の上のホーチミンルートを目指したのでした。

 
  ●ホーチミンルートへ移動

米帝の攻撃の隙を突いて突撃です。

 

両側に茂った草を遮蔽物に利用しながら、10人以上の大部隊(泣けるぅ 苦笑)が隊長殿を先頭に、ちょっとだけ慎重にどうどうと真ん中を進んで行きます。

 
  ●ホーチミンルート 移動直後

天気もよくて、もう気分はピクニック(笑)

 

半分くらいまできた所で、まだ発見されていないようでした。奇跡に近いです――と思った瞬間でした。

パリパリパリパリ・・・・

聞き覚えのある音が響き、耳元を白い塊がかすめて行きます。発見されたようでした。当たり前です。ど真ん中を歩いていれば、誰だって気がつくというものでしょう(笑)

「危ないっ。気をつけて、命大事に行きましょう」

いいのかそんな指示で(笑)

 
  ●見つかって――

慌てて隠れるも足場最悪。さすが米帝、底意地悪い(笑)

 

ともかく、近場のブッシュに身をかがめると隊長殿がそうのたまいました。当然、我々も慌てて身を隠したのはいうまでもありません。そして思い出したように反撃を始めます。が、悲しいかな弾が届いているのかいないのか判らない・・・・はやばやとお互い撃ち合いながらのこう着状態です。
そんな中での会話が漏れ聞こえてきました。

「なぁ、ここでやられたら、やっぱり倒れなきゃいけないのかな?」
「ルールはそうだけど、ヤだよな。即死にすっぺよ」
「そだよな」

無理もありません。細い通路である上に、なぜかその足元にだけ大きな水溜りがあったのです。ちょうどそこに差し掛かった瞬間に攻撃を受けました。計算してるな米帝(笑)
とはいえ、行くも下がるもできない状態では、もうどうにもなりません。となると、案の定、隊長殿の出番となりました(笑)

「アメリカ軍の諸君。攻撃を止めたまえ。我々は戦いは望んでいない。話し合いたいのだ」

返事は、当然のごとく弾の嵐。それも前にも増して激しく。かえって煽っただけかもしれません。向こうもなにやら叫んでいますが、こちらの耳にまでは届きませんでした。ただ弾のかすめる空気音ばかりです。
しかし、隊長殿には聞こえていたのか、散発的に撃ち返しながら、なおもアジテーションは続いていました。が、その内容はというと・・・・

「止めろ、撃つな! 怖いんだよ!!

もう本音だだ漏れ(爆笑) 激しい米帝の攻撃に釘付け。後ろにはNKVDばりの怖い党政治委員が待っています。進むに進めず下がるに下がれず、もう八方塞でのご乱心です(笑)
とそのとき、本部からの再び撤収指令がはいりました。助かったとばかり後退を開始したのはいうまでもありません。

「なんだ逃げるのか。コンジョー無しがぁ」

とかいうような、背後からの米帝の挑発を耳にしたとたん、隊長殿が不意にきびすを返して道を戻り始めました。そして一言。

「うるせー。今は見逃してやる。次は覚悟しとけぇ〜!!」

黙ってられなかったのね、やっぱり(苦笑)

 
  ●隊長殿ご乱心

負け惜しみ罵詈雑言と共に、屁のツッパリ(笑)

 

 しかし、そんな後先考えない行動は危険では――

「てったぁ〜い。逃げろぉ〜〜〜」

と、捨てゼリフをいい放った隊長殿は、脱兎のごとく我々の目の前をすり抜けて、瞬く間に後方へと走り去って行きました。その命令が後から追いかけてきたように感じるほどの素早さです。

そして、思ったとおり、その後を追撃してくるものがありました。

バリバリバリバリ・・・・

嫌な予感的中です。怒った米帝の攻撃です。逃げたと思った相手に逆挑発されたのですからね、そりゃムリないでしょ(笑)

 
  ●その結果――

弾よりも早く(?)駆け逃げて行く勇姿(爆笑)
当然、私ら置き去りです(笑)

 

しかし、一番の問題はそこではなかったのです。挑発して逃げるのはいいんですが、一本道で我々をはさんだ状態では止めてほしかった。隊長殿をねらった弾が、そっくりそのままこちらに襲いかかってくるのですからたまりません。その凄まじいのなんのって・・・・

「やっぱりぃ〜〜〜 隊長どのぉ〜まってぇ〜」

呆気にとられ立ち往生していた我々も、遙か遠くに走り去った隊長殿を慌てて追っていったのはいうまでもありません。

大丈夫なのかぁ、こんなんで・・・・(苦笑)

 
  ●作戦終わって、残されて・・・・

「俺たち何しに行ったんだか・・・・」

拠点に戻る足取りも、こころなし寂しいです(笑)

 


 

続く・・・・

 

 

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