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ついに始まってしまいました。出撃の合図があったのかどうかすらはっきりとしない状況のまま、各自フィールドへと降りていきます。もちろん、勢いよく走りこんで行く者などは一人としていません(笑) 足場が悪いという大きな理由はありますが、それ以上にそんな元気など微塵も持ち合わせてはいないからです。なにせ、わが陣営は人数が少ないうえでの特例措置があり、もうひたすら体力勝負な展開が待っているから(ぶっちゃけ、ホンネは、初っ端から疲れたくないだけなんですけどね 苦笑)
足元は相変わらずの泥濘で、気分はさながら雪解けの東部戦線です。いや、もっと酷い状態に陥ったのですが、それはもう少し先の事でした。 「米帝はもう動いているようですから、みなさん気をつけて」 先頭を進んで行く隊長殿が声をかけます。我々は周辺にそれなりに気を配りながら、まったく緊張感もないままに進んで行きます。これもいつもの事です(笑)
しかし、さっぱり米帝どもの姿が見受けられません。巧妙に偽装しているという事も考えられるのですが、開始早々そこまで凝った事をするとは考えられません。するとやはり―― 「出てきてないみたいですね?」 そうです。ルールーが妙に細かくなってきたせいか、たんに米帝どもがチキンなのか知りませんが、始まってからしばらく、ヘタをすると一時間近く相手の姿を見ないことが多くなったのです。まぁ、我々のようにムボーな突込みをかます方がおかしいんでしょうけどね(笑) ―― 鳴かぬなら、鳴かせて魅せようホトトギス ―― なんだか一部字が違うような気もしますが(笑) 有名な戦国時代の偉い人の言葉どおり、ここは我々が動くしかないのでしょう。 「しょうがないんで、このまま行けるとこまで、できれば敵の本拠地まで行っちゃいましょう!」 というが早いか、隊長殿はずんずんと進んでいきます。
途中交戦音はまったく耳にしませんでしたから、別に動いている解放軍二隊も会敵していなかったようです。ほんとに動いてないんだな、あいつら。 「こりゃぁ戦車よりもUボートがいるな」 現状を目にしたとたん、またもやバラトン湖畔のドイツ兵となってしまいました。無理もありません。軽く膝丈まであろうかという、水溜りというのもおこがましい大湿地帯が出現したのです。しかも敵はすぐ目の前・・・・
「ここ行くの?」 すでに靴は水浸し。いまさら何をためらおうかと。でも、パンツ濡れるのはちょっと嫌だな(笑) しかしそこは男の子。赤信号、みんなでわたれば、即全滅。ウダウダいう前に突撃開始! 「おらぁ〜 かかってこいやぁっ 最後のは違うだろ(笑) ともかく、雄叫びを上げ挑発を繰り返し、足元に気をつけながら、バシャバシャと水面をラッセルして行きます。
米帝側からの攻撃はごく軽微。このまま突入かと思われたそのときです。 「側面に回ってるぞっ! 戻れっ!!」 ゆっくりと展開していたらしい米帝側は、唯一濡れることなく侵攻できるルートを使っての迂回作戦を展開していたようです。目前は囮か、やるな。 慌てて射界外の比較体足場のいい所まで後退すると、体勢を立て直します。
解放軍部隊もまだ本格的な遭遇は果たしていないようで、とても静かな時間が流れておりました。 「つまらん」 周囲の警戒など放棄して、隊長殿が憮然とつぶやきました。確かに接敵しない限り成立しないのが戦いですからね。他の者たちも手持ち無沙汰そうにしていたそのときです。不意にいま戻ってきたブッシュの方から交戦音が響いてきたのでした。解放軍のどっちかの部隊が接敵したようです。いいなぁ。 「どうにもこうにも、敵を引っ張り出さん事には始まらんな・・・・」 ジッとマジメそうに考え込んでいるときは、決まってろくな事を思いめぐらせていないのですからね(笑) もちろん、今回も例外ではありませんでした。 「行くぞっ」 唐突に近くにいた者を捕まえて、米帝どもが隠れていると思われるブッシュめがけて悠然と進んで行ったのです。そして、 「おらおら、そんなとこに隠れとらんで出てこいっ。そんなに怖いのか、臆病ものっ!」 やっぱりかぁ(苦笑) いろいろと挑発の雄叫びを上げながら、空に向かってバリバリと威嚇射撃です。その勢いたるや、マガジン一本はいったな確実に。どうせならブッシュへ向けて撃ち込めばいいのに。怒るよ、それ。 「お・・・・お・・・・おっかねぇ〜〜〜っ!!」 あまりの相手の勢いに、隊長殿は慌てて逃げ出してきます。連れて行った相棒なんかもうアウトオブ眼中(笑)
「うーん仕方ない。コイツでおびき出すか」 自爆行為に近い作戦が不首尾に終わると、今度は手にしていた北越の国旗を地面に突き立てました。どうやらこれでおびき寄せようという魂胆のようです。軍旗、国旗といえば東側陣営では旧軍と同じほどに価値のあるものですからね。それは相手も充分承知。うまくいくかもしれません。 「とりあえず下がって隠れましょう。充分引き寄せて、一気に叩きます」 というと、もろもろのお供と共に、一段後ろのブッシュへと引き下がりました。その場には、国旗だけが存在を主張して立っているばかりとなったのです。 そうして待つことしばし。こちらの動きがないということを悟った米帝側が、じれったいほど慎重に姿を現しました。当然目標は例の旗です。ジリジリと近づく敵軍に、こちらもチャンスを見計らうように身構えます。 『ああっ、どこ見てんのっ!?』 こともあろうかその瞬間、隊長殿はあさって方向を向いて話し込んでいたのです。しかもその場にいた全員が、なぜかその状況に気がつかない・・・・(苦笑) 『志村ぁ〜 後ろ〜っ!!』 心の中で叫びました。そりゃぁ、もう何度も大声で(笑) やられてしまっていたのですが、記録をとる都合上、この場は傍観者を決め込んでおりましたから。気がついていても声に出して叫ぶ事ができないのです。さすがにスキャナーズが羨ましいと思いましたね(頭、吹っ飛んじゃうかもしれませんが 苦笑)
今回かりは米帝側の慎重さが吉と出ました。無言のまま旗を引きちぎるようにもぎ取ると、嬉しそうにかざしながら駆け戻って行ったのです。もちろん、その間も隊長殿一行はまったく気がつく気配すらありませんでしたとさ。トホホ・・・・ 「ああっ!? 旗がないぞっ!!」 話に一段落したのか、ずいぶんたってから隊長殿は気がつきました。とたんにざわめきたつ一同。もう遅いって・・・・ 「参ったなぁ。持ってかれちゃったよ。どうしよう・・・・」 旗が立っていた場所に立ち尽くすと、キョロキョロと辺りを見回します。が、とっくに相手の姿は消え去っていました。 「・・・・」 過去の思い出が蘇ってきたのか、隊長殿の顔色が悪くなっていきます。それに反して周りの者たちには、妙な空気が漂い始めました。緊張感とはまったく違う、何かを期待している感じのものが――オイオイ(苦笑) 「・・・・ちょっと行ってくるわ」 文字通り保身策について考えをめぐらせていた隊長殿が、唐突につぶやきました。そして、いきなり米帝どもが隠れているブッシュへと、何事もなかったかのように向かって行ったのです。 「アメリカ軍の諸君。大切な話がある。戦意はない。出てきてくれ」 マガジンを抜いた銃を頭上に掲げながらの直談判の要請です。相変わらずムチャしよりますな(笑)
しかし、相手が応じなければ意味のない事なのですが――出てきましたよ、ビックリ(笑) さっそくの交渉開始です。
「さっそくだが、旗を返して欲しい。返してくれるなら、我々は拠点まで引き上げる用意がある。どうかね?」 いったい何の話をしてるんだか(笑) しかし、はかばかしい返事は返ってきませんでした。 「そう、それはよかった。けど、残念ながら、我々は旗は知らないんだ」 なぜか悩みこんだ米帝の小隊長は、振り返ると部下に問いただします。 「みんな、知ってる? 知ってたら教えてね。旗を返すだけで生きて帰れるんだよ」 うわぁ、妙チクリンなリアリティー感じますねぇ(笑) 隊長殿の逆切れ我慢の必死の懇願に、米帝側も答えてくれようとしています。中にはわかるナイスガイ(北側基準)もいるんですね。と思ったら、どこかで見覚えがあるような気がします、この小隊長(苦笑)
しかし、いい返事は返ってきません。持ち逃げした部隊がよくわからず、情報が錯綜していたのです。ただいえるのは、この部隊が持って行っていない。という事だけは間違いないようです。 「このままでは、私は責任を取らなければならない」 そりゃそうでしょ。改めて宣言するのも凄いです。が、輪をかけて凄いのはここからでした。 「いいのか、本当に責任を取ってもいいのか?」 ・・・・誰に向かって凄んでるんだか(苦笑) 我々部隊員は後ろで見守っているんですけど・・・・
しかし勢いは止まりません。それどころかますますヒートアップしていくばかりです。 「君たちは、目の前でオレが死んでも平気なんだな。 オイオイ、相手は敵ですよ(爆笑) とはいえ、なりふりかまっていられないというのがホンネでしょうけどね。しかも不思議な事に、なぜか相手側もなだめて止めようとしていたりします。
もうその場では、なんだかよくわからない絵模様が繰り広げられていました。まさにカオス状態(苦笑) 「・・・・」 両軍の部隊員は、もうなかば呆れ顔で様子見です。ま、これもいつもの事なんですがね(笑) ビシッ! ビシッ! ビシッ! 痛烈な銃撃がその場にいた者に襲いかかりました。敵も味方もおかまいなし。文字どおりの絨毯射撃です。身構える隙すら取れなかった一同は、全員その場にひっくり返ってしまったのでした。
「おらーっ、おまえら生ぬるいんだよっ! いきなりのバーンズ曹長(仮)の乱入です。45口径を振りかざしながら、数人の部下と共に突撃してきたのでした。
「突っ込むぞーっ。野郎ども付いてこぉ〜い」 というか、そのままの勢いで我が部隊員に襲いかかります。まったく迎撃体制を取っていなかった我々はあっという間に掃射されてしまいました。なんだか前に見た事があるような気がするな、こんな場面・・・・(苦笑) こうして、隊長殿へのドクロベエさまのオシオキが決定してしまったのでした(笑)
続く・・・・ |
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