−−  中  前  −−

 

出撃の号令一過、我らが越南解放同盟軍は、足取りも軽やかに前進を開始――できませんでした。陣地を出てすぐの所に、巨大な倒木が横たわっていたのです。しかも見事に行く手を遮るように・・・・

「なんだかイヤ〜ンな感じでない?」

乗り越えるにはちと高く、潜るにはかなり低いという、まさに米帝傀儡軍が仕掛けた障害物としか思えない代物でした。しかし、ここを通る以外に道は無いのです。仕方ない。ここをムリヤリ跨いで行くしかありません。

     
  ●阻害木

我軍のI進撃を妨げるべく米帝の仕掛けた物
・・・・なんてこたあるわけがない(笑)

     

「初っぱなからこれはキツイなぁ」

日頃の運動不足がたたって、すぐさま身体が悲鳴を上げ始めます。まだ始まったばっかだってのに・・・・(苦笑)
しかし、その後もまた大変でした。スタッフさんが迷ってしまうというほどの場所です。簡単な地図があるとはいえ、全く何の知識もない我々にはお手上げです。幸い道はあるものの、右を見ても左を見ても、見えるものは藪ばかり。いまどこにいるのかすら判然としません。

     
  ●遡行中

もう場所がわからず右往左往状態。
まさに気分は雪の無い八甲田山。

     

「こっちでいいんだよなぁ・・・・」

まるでワンス&フォーエバーの同志・北ベトナム人民軍が使っていたような大雑把な地図を広げては、進んでいく先々で確認作業に追われていたのです。おおまかな陣地位置と目印があるだけの地図じゃねぇ・・・・少なくとも道くらいは書かれてないとわからないと思うんですが(笑)
しかし、そこは不屈な精神の我ら人民軍。道が続いているという理由だけで、来た方とは反対に進んでいきます。こうすりゃ少なくとも陣地に逆戻りという事はないでしょう。360度周ってしまったらわかりませんがね(苦笑)

     
  ●GPS発動

が、いかんせんアナログなので、効果の程は押して知るべし(苦笑)

     

しかし、実際にはそんな事などまったく問題になりませんでした。それよりも切実な事態が襲い掛かっていたのです。

「い、いったいどこまで行くんだ?」
「地図に聞いてくれ・・・・」

そうです。丘陵地に作られたフィールドは、思った以上にアップダウンがきつかったのでした。見た目にはたいした事はないように感じるのですが、ジワリジワリとダメージを与えてきていたのです。そこを調子に乗って走って行った連中の末路は明らかでした。目的地にたどり着く前に、息も絶え絶えな情けない集団と化していたのです。目的地もわからないうちにそんな事するから――なんていってみてももう後の祭りですが(爆笑)

「と、とにかくもう近いはずだ。一同小休止」

すでに八路軍のフランキー堺となっていた隊長殿が、いま一度乱れた隊形の整頓を試みます。が、そんな事わかってるヤツなんていやしない。みんなその場にへたり込んで大休止です。あぁ〜つらい・・・・

     
  ●小休止

敵がわからず一休み。
しかし、実際は・・・・

     

ところが、奇跡が起こりました。なんとその場は目的地のすぐ目の前だったのです。そのまま調子に乗って突っ込んで行っていたらどうなっていた事か。まぁ、特に何ともならなかったとは思いますが(笑)

「おぉ、ここで間違いない。諸君、目的地だ。戦闘準備!」

すぐ目前のブッシュの向こう側が米軍の陣地らしいのです。もちろんこっからは見えませんが、チラチラと動く影が見えました。。
敵陣間近――この言葉は、さすがのダメダメ連中にも効果がありました。慌てて銃を構えると、次の指示を待ちます。

「改めていうが、作戦目的はたんなるイヤガラセだ。一連射あびせたら引き上げる。いいか、深追いはしないように」
「・・・・」

初めて聞いたんですけど、なんという素晴しい作戦なのでしょう。ま、らしいっちゃらしいんですが(苦笑) 
ともかく作戦開始です。ブッシュ伝いに前進を続け、米帝どもを視界にできる場所まで進みます。

     
  ●発見!!

見つからないように忍び寄ろうと狙いますが・・・・

     

ああ、いたいた

前方の塹壕に陣取るように展開している米帝の姿が見えました。遠くの方から交戦しているらしい音が聞こえ、そのせいかまだこちらには気づいていないようです。
こちらもゆっくりと展開を進め、総員の攻撃態勢が整いました。すべての銃口が敵に向かって身構えています。後は号令の元トリガーを引くだけだったのです。よしっ!!

パタタタタタタタタタタタタタァァァァ――

瞬間、響き渡るいくつもの銃撃音。思い切り攻撃――されました(涙)

「あれぇ、見つかった!?」

こちらが撃つよりも早く、米帝側から洗礼を受けてしまいました。しかもその弾幕の凄い事。うかつに顔でも上げようものなら即昇天間違いなしです。この勢いからすると、間違いなくM−60があるでしょう。憧れの機関銃――

あ〜 撃たれてぇ〜〜!』

日頃の間違った楽しみが頭をもたげます。しかし、今はそんな事などできる状況下ではないのも間違いない事でした。残念・・・・こうなりゃ撃ち返すしかないでしょうって。

当たるかよぉ〜!

相手の弾幕の隙を突いて、必死に反撃を試みる同志たち。先制できなかった時点ですでに失敗なのですが、もうこうなってしまっては関係ありません。総員力の限り攻撃を開始したのです。

     
  ●攻撃開始

もう奇襲の意味なんてアリャしませんが、撃たなきゃこっちがやられるだけだし。もう修羅場(笑)

     

当然、被弾する者達も増えていきます。が、そこは天下の復活ルール。すぐその場でバクシーに治療を受けると、戦線に復帰していったのです。兵力には問題がありませんでした。が、すぐにそれよりももっと大変な問題を思い知らされたのです。

―― 弾がない・・・・ ――

そうです。携行弾数200発制限。これを忘れていたのです。撃ちまくる米帝に合わせて反撃していた我々は、一人また一人と持ち弾を無くしていってしまったのです。反して米帝どもはほぼ無尽蔵。なぜなら、ヤツラは陣地のすぐ脇で戦っているんですから。弾を取りに戻るのは造作もない事です。忘れてました・・・・

た、退却ぅ〜〜

弾がなくては戦はできません。この状況下での着剣(のつもり)突撃などまったく無意味。最後のお楽しみなのですから(笑)
まだ少し残弾のある同志を先頭に、先ほど来たばかりの道を駆け戻ります。背後から射掛けられるのではという猜疑心から、道を外れ未開の藪を進んだりもしました。それはもう凄かったですよ(笑)

     
  ●敗走

道は危ないと草原縦断。
先の大戦のお爺様たちの気持ち、よくわかった瞬間でした(苦笑)

     

そうして、何とか無事に逃げ出す事ができて、ホッとしたのもつかの間でした。帰り道のほぼ中頃に差しかかったときです。大きく右に曲がる通路の向こうに、なにやら蠢く緑色の物体を見つけたのです。あの丸いシルエットは――

「待ち伏せだぁ!! 隠れろぉ!」

隠れろといったって、場所は濃いブッシュにはさまれた一本道。どこに隠れろとおっしゃるのか・・・・
当然のごとく、指示と間をおかずに悲鳴の叫び声が上がったのでした。敵の銃口の真ん前に突っ込んでいったのですから当たり前です。

     
  ●出会い頭の会敵

どうにか先陣はやられてくれましたが、所詮はそこまで。
なにせこちらは弾が無い(涙)

     

かろうじて被弾を避けられた者も、ブッシュの影にへばりついて動けません。しかもこっちは弾が無いときたもんだ・・・・まさに地を這う "マリアナの七面鳥" 状態。果敢に反撃を試みる勇者もおりましたが、所詮は竹槍でB29を落そうというようなもの。何の効果も無く、あっという間に全滅の憂き目を見たのでありましたとさ。トホホ・・・・

     
  ●断末魔

最後の悪あがき・・・・何もいうまい(嘲笑)

     

初陣からとは・・・・うーん、さすがだな(苦笑)

 

続く・・・・

 

 

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