−−  後  前  −−

 

「ええかぁ、自分ら。こっからが肝心やぞ。わかっとるやろなっ!!」

作戦前の打合せ。いままでは米帝の陣地への侵攻方法が中心でした。どこをどうやってムチャな計画を進めるかという――(笑)
しかし、今回は違います。なんと、いきなり敵拠点のキャンプ・サボイに終結していたのですから。夢にまで見た敵の拠点。ここに捕虜以外で入る事ができるなんて、まさに夢――心地よい夢――だったはずでした。
が、それはすぐに夢は夢でも悪夢へと化してしまったのでした。そうです、それが先ほどの訓示です。

     
  ●出陣式?

憧れのキャンプ・サボイでの様子。
その中に、何やら見覚えのある姿が・・・・

右手前の人影は気にすんな(笑)

     
  ●プロパガンダ

お馴染み隊長殿手作りの品。
このなんともいえないショボさがいかにもな感じ(笑)

     

集まっていた我々の前に立つ二つの人影。ひとつはいうまでもなく隊長殿であります。こちらはかまいません。プロパガンダの権化のような方ですから(笑) 
問題だったのはもいひとつの方――青い柄のシャツに黒パンツ。背が高く痩せぎすな彼、非常に見覚えがあるのです。そう、あの『北のヤクザ・恐怖の大王』の異名を持つ、先代の党指導員長ではありませんかっ!! 確か、彼は数々の作戦の失敗の責任を取らされて、更迭されたはずではなかったんでしょうか? 

     
  ●恐怖復活!!

噂には聞いていましたが、まさか本当だとは・・・・

     

2012年までは、まだ間があるぞ!!

などと決して口にはできない思いを胸に、神妙に訓示を拝聴していたのでありました。

「今回はここ死守するでぇ。アメ公がなんぼのもんじゃいっ! 戦争じゃっ、タマの取り合いじゃ! 漢だったらここでキバらんかいっ!! まさかぁ、こん中にビッビとるもんはおらんやろなぁ〜 もしもおるンやったら手ぇ上げてみ?」

鋭い眼光で突き刺すように一同を見回す党指導員長。そんな目で見られたら、誰も手なんて上げませんて(苦笑)
事実、群衆の中誰一人も――いた!? なんと、バカ正直に震えながら手を上げたツワモノが現れました。正気かオマエ!?

「なんや、自分、ビビッとるんかい!!」

というが早いか、

パンッ パンパンパンパン

電光石火の早業で、手にしていた得意のパンパン鉄砲が火を吹きました。伝家の宝刀即決裁判です。(もう裁判なんて呼べる次元ではありませんが・・・・苦笑) 相変わらずですなぁ・・・・

「ええか。ワシ等には臆病もんはいらん。米帝のタマ取ってくるもんだけで充分や。わかったら、おらっ行ったらんかい!!」

脅迫としか思えない訓示が終わると、半分ヤケッパチなシュプレヒコールを挙げると、隊長をイケニエに残して、一斉に戦場へと逃げ出します。まさに触らぬ神にたたりなしです(笑)

     
  ●シュプレヒコール

気合を入れて逃げ出す準備です(笑)

     

内心ホッとしながら進んで行く我々に、隊長代行から唐突に極秘作戦計画が指示されたのでした。その内容はというと――

「この先の分岐点で、米帝の先遣隊を迎え撃つ。敵は攻撃してこないから心配いらない」
「?」

正規軍は総勢7名。とても米帝の分隊を相手にまともに殺り合える人数ではありません。何を考えているんだ――と詳しく聞いてみると、これからやってくる米帝のパトロール隊に、我々に通じている同志が紛れ込んでいるという事でした。その彼が分隊を押さえているから大丈夫という事のようです。本当に大丈夫なのか?、いろんな意味で(笑)

「この辺りで待ち伏せる。合図があるまで隠れていてくれ。見つからないように」

攻撃予定地点に着いた我々は、道の両側に身を潜めます。あくまでも完全な奇襲を狙っているので、その秘匿性が重要だったからです。程なく準備完了。後は米帝の現れるのを待つばかりでした。

     
  ●アンブッシュ

笹薮とはいえ、暑さでけっこう辛いです。
ま、これも作戦の内なんですが――

     
 
 

待つばかりです

 
 

待つばかりでした

 
 

待つばかりだったのです・・・・

 
 

この日はいい天気でした。こうしてジッとしていると、昨夜の反動からとても眠くなってきます。早く来ないかな・・・・って、アンブッシュを始めてもういい時間が経っていますが、ぜんぜんくる気配が無かったのです。予定ではほんの四・五分のはずだったのですが・・・・
さすがにおかしいと思ったのか、内通者を通じ米帝の様子を確認します。
目的の分隊はすでに出発しているという事でした。ここまでただの一本道。どう間違っても、もう到着していておかしく無かったのですが・・・・

『どうしたんだ?』

全員の脳裏に同じ疑問が過ぎります。しかし、待つ事しかやれる事もなく、ここはじっと我慢するしかありません。
と、そこに無事党指導員長から解放された隊長殿がやってまいりました。

「もう終わった?」

これだけ経てば誰だってそう思います。でも、まだ何の進展もありません(苦笑)

     
  ●北ベトナム正規軍

待ち時間を利用して何やらやってます。
右から二人目の解放軍は、本部付の連絡員。

この人数+一人が総員。今まで最小記録(苦笑)

     

さらにしばらく経った頃の事です。驚愕の事実が判明いたしました。なんと、目的の米帝分隊がこなかったのは、
道に迷ってしまったからだというのです。
この道は我々も何度も通って知ってますが、ただの一本道。どこをどうしたら迷えるのか不思議ちゃんです(苦笑)

さらに待つ事数刻。ついに待望のときがやってまいりました。道の向こうにチキンな米帝が姿を現したのです。

攻撃始まったの!? そ、総員突撃!

相手が近づくまで引き付けるという話だったのが、なぜか向こうの交差点で交戦開始となってしまったのでした。本来は、我々正規軍が対処するはずだったものが、たまたま近くに展開していた解放軍が仕掛けてしまったらしいのです。敵にとってはどっちでも同じ事なので問題なかったのでしょうが、待ち伏せしていた我々の立場は・・・・(涙) ともかく、慌てて現場へと駆けつけます。

     
  ●全速前進

戦場が遠かったため、待ち伏せの意味まるでなし。
おいしいトコ取られてしまいました(爆笑)

     

「!?」

なんだかわからないうちにも作戦は成功。不意を疲れた米帝どもは、何もする事ができないまま、総員捕虜とあいなっておりました。
と、そこで立ち上がる人影。
そう、この分隊を引っ張ってきた米帝の士官です。なんだか、以前に橋の袂でボコボコにされたような気がするんですが、気のせいで――はありませんね(苦笑)

     
  ●驚きの米帝

やわら立ち上がった味方の言葉に――

     

「あははは、おまえたちご苦労。いまから俺の事は北ベトナムの大佐と呼ぶようにな」

彼が我々の同志でありました。寝返るのを条件に特進したようです。ほんと、見るからに悪役といった、まさにはまり役な方ですね(笑)

     
  ●革命同志

見たまんまの通りホントに悪役な方でした(笑)

     

「捕虜は――面白い事を思いついたから、一人だけ連れて行く。後は帰れ。帰って本部に報告しておけよ。アハハハハ」

本当に味方でよかったと思った瞬間でした(笑)

そうして米帝を追っ払い、不幸な捕虜をキャンプへと連れ帰ってくると、さっそく始まる捕虜イジリ。しかも今回は元部下という立場もあって、その行動に容赦ない容赦ない。服を脱がせると、後手に縛るのはともかく、目隠しに猿轡までのサービスぶり。見ていた我々の方が少し気後れしてしまったほどです。

     
  ●捕虜虐待

容赦なく剥いてイジリます。
なんだかハリウッドの北側そのものな行為です(苦笑)

     

が、それはあくまでもタテマエの世界。んな事など、喉元過ぎれば熱さ忘れる――最終的には率先してイジリ倒していたというのはナイショです(笑)

     
  ●結局・・・・

自分らで楽しんでしまいましたとさ(爆笑)

     

「そろそろこいつで遊ぶのも飽きてきたな。持って帰ってもらうか」

持って帰ってもらうって・・・・いったい何をやらかす気なのかと思ったら・・・・いきなりガムテープでぐるぐる巻きにして、道の途中に放り出してしまったのです。これぞ本当の『放置民ルート』ってか(笑)

     
  ●挙句の果てが

この状態で放置。
しかも、この後足まで縛り本当に動けなくしてました。

     

「仲間に拾ってもらうんだな」

なんてネタはともかく、見えず、喋れず、動けないという、変形ヘレンケラーのようなこの仕打ち、

まさに外道!!(爆笑)

しかし、似たような事が自分たちの身にもふりかかる事になろうとは、このときはまったく思ってもおりませんでした。

 

続く・・・・

 

 

後 後

 

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