―― 前 編 ――

 

今回は不参加の予定でした。ゲーム当日、外出先からの帰宅途中の午前1時まで・・・・が、予定は未定で決定ではないという言葉がある通り、急きょ参戦が決定いたしました。まさに『東郷ターン』ばりの大反転です。(いや『レイテ湾の栗田艦隊』かも・・・・苦笑)
しかし、そこで発生した大問題。ゲームの用意はまったくれさていなかったのです――

午前2時、無事帰宅。とたんに始まるタイムトライアル。集合時間を逆算すると、家は遅くとも6時には出なければなりません。と、いう事は・・・・

「おおっ!? 寝られへんやんっ!」

必要な荷物を思い描きながら、目的のものを探し始めます。

「ベトナムだから・・・・これじゃないっ!!」

参加する陣営は、男なら当然の人民解放軍。代用装備を使っているので、必要なのは中国軍の物です。とはいえ、いいかげんにしまってあるのでどこにあるのかわからない中での捜索に、時間ばかりが過ぎていきます。K島攻略部隊の空母作業員のような焦りを感じながらも、どうにか装備はかき集める事ができました。
しかし、ここでさらに上をいく巨大な問題が露呈したのです。

「バッテリー充電してないや・・・・」

そう、前回ゲームをしたときのまま、ほったらかしてあったのです。そのときに使い切っていないので、動くかといえば動くのですが、どこまで持つかは時の運。試しにトリガーを引いてみれば、元気のいい駆動音が響きました。元々あまり撃つ方ではないうえに、きちんと手入れをしない性格なので、こういうときは役に立ちます(自爆)
ま、そんな事はどうでもいい事。とりあえず動くことが最優先。そのままガンケースの中に突っ込むと、どうにか準備が完了です。

「よし、寝るか」

時計を見ると午前2時30分。ほんの30分で準備が終わった事になります。うーん、新記録(笑)



そして寝たと思ったらもう朝になってました。うわ、きっつう。
とにかく荷物を取りまとめると、慌てて家を飛び出したのでした。

空の様子は、降るかどうかは気分次第という感じの曇り空。ともかくゲームがあるということははっきりしているので、集合時間に間に合うように爆走です。途中の道はけっこう混雑する場所が多いので、余計な時間はかけていられません。単純計算で約一時間半かかるんです。混まなければもう少し早いとは思いますが。
しかし、いついつどきでも問題が起こるのがこの私です。車の燃料計を見てみると、なんと残量1メモリを切っていました。計算的にギリギリかなぁ――という量です。

「やべ。燃料ないじゃん・・・・」

そのときにはもうガソリンスタンドは、はるか彼方に通り過ぎておりました。

「ま、この先で入れればいいじゃん」

と、その場は気にせずにひたすら前進です。とりあえず目的地にまではたどり着けますので。大和の水上特攻よりははるかにマシですからね。(誰もそんなものには例えないと思いますが 苦笑)

集合予定のコンビには県境の川を越えた向こう側にあります。いつもよりも早い時間帯のためか、道の方は非常に空いておりました。が、あまりにも久しぶりな場所だったので、途中大回りになるような迷い道に興じていたというのはナイショです(苦笑)
そんな中、どうにかこうにか予定の川沿いの道までたどり着きました。あとは終点で川を越えるばかりです。もう間違えようはありません。残り少ないガソリンを気にしながらも、カーステレオから流れる強大なボリュームの軍歌(オイッ)を聞きながらの、気分はまったりクルージングです。
しかし、いつもこの道を通ると思うのですが――どうしてこんなに遠いんでしょう!? 700キロよりも遠い50キロってどうよ (あくまでも気分的にですが。やはりこれは『愛』の差でしょうか 苦笑)
といっているうちにも無事に川を越えることができ、最後の追い込みの直線へと入りました。目的地はもうほんの目の前です。
しかぁーし、ここで我がボロ車から緊急メッセージ。

『ハラヘッタ。ゴハンマダデスカ、シロウ』
「シロウって誰やねーんっ!!」

という一人ツッコミはひとまず場外ホームラン。 とうとうやってまいりました。ウルトラマンのカラータイマーのごとく元気よく点滅してアピールし始めたのは、ナイト7000はもちろん、性転換したアーサー王でもない燃料残量警告灯でした。すでに燃料計の最終防衛ラインすら突破している現状では、いつ無条件降伏するかわかったものではありません。まさに『ガソリンの一滴は血の一滴』という、古いドイツの標語(ウソつけ)が身にしみる瞬間でした。 
とはいえ、通り道に隣接する燃料集積所はすべて反対側。交通量が少ないとはいえ、あえて行こうという気が起きないのは、ヘタレ道驀進中というなせるワザですな(苦笑) という理由から、そのまま集合地点まで直行です。どうなっても知らんぞ、自分だけどな(笑)

集合場所のコンビニには、すでに他のメンバーたち(ダークエルフのユキさん、マッちん。うち(まと)のノンノン提督、局長)は到着しておりました。後はうちのパンツ大佐とダークさんのイズミさんを待つばかりです。イズミさんは直接自転車でくるという事なので、電車でくると言張るパンツ大佐を待つばかりです。まぁ、おっつけやってくるでしょう。
しかし、まわりを見てみると、同業者と思われる中途半端に危ない扮装をしている連中が一杯。もちろん我々のその中の一員である事は公然のナイショです(笑)

「それじゃ移動しましょうか――って、何やってるんです!?」

それぞれの買物も終わり、いざ出発をしようとしたときです。嬉しそうに割箸をくわえてカップ麺を手にしている者がいたのでした。そう、我らのネタ男・マッちんです。

「え? 何って・・・・朝ごはん。ご飯食べないと力でないでしょ? チ・カ・ラ」
「それはわかりますけど、もう出発・・・・」
「ちょっと待って――あ、できた」

   
おいしそうにカップ麺を食べようとするマッちん。
それを羨ましそうに眺めるノンノン提督。
   

ユキさんの呆れた言葉にもまったく動じる気配もなく、彼はライオンキングポーズ(わからんな)を決めると、そそくさとカップ麺を食べ始めたのでした。当然残りの我々は待ちぼうけ。ひたすら食べ終わるのを見つめていたのです。しかし、どうでもいい事なんですが、どうしてたいした物じゃないとわかっているのに、人が食べているのってうまそうに見えるんでしょうね。おあずけをくった子犬の気分を充分に満喫いたしました。

そうして無事に食べ終え、遅れていたパンツ大佐も合流し、今日の会場へと向けて出発したのでした。
その道すがらには、前回と同様に道先案内人の姿がありました。が、あまりにも我々の到着時間が早すぎで、そのときにはまだ準備している最中だったのです(笑)

   
一生懸命看板の紙を用意してます。
が、風が強くて大変でした。
   


河川敷の砂利道を埃を巻き上げながら走っていくと、車を止める姿がありました。米兵の格好をしているスタッフです。もうここから今日のゲームは始まっていたのですね(笑)

 
疾走するノンノン提督カー
 
途中の検問風景。参加者の確認ですね。
 

誘導に合わせて車を定位置へと止め、荷物を抱えてセーフティへ移動です。が、いつもの事ながら、マッちんの荷物の尋常でない事。皆で抱えても二回往復しなければならないほどですから。いったい何持ってきてんだか(笑)

「でぇ、セーフティーてどこなの?」

前回とは違う場所にたどり着いた我々は、この後どうしたらよいのかわからず、ただボーゼンとするばかりでした。
と、そんな状況を察してくれたのか、スタッフの方が声をかけてきてくれました。

「あ、その辺適当に設置してください。でも、ヒモの向こうへは出ないようにお願いします」
「ヒモ?」

いわれて見直してみると、すぐ脇を一本のビニールテープがクネクネと這いまわされておりました。その向こう側は、前回もちょっちモメかけたオフロードコースがあるのです。しかし、ゲームをする上ではまったく関係のない事なので、すぐさま我々はテントの設営へとかかったのです。

「でも、どうしましょう・・・・」
「え、大丈夫ですよ」
「そうですかね・・・・」

我々が陣取った場所が、ちょうど傾斜地だった事もあって、雨水の流を非常に心配しているユキさんでした。それもそのはず、今日の天気は降水確率50%といういかした予報が出されていたのです。実際に空を見上げてみても、いかにも降り出しますよぉ〜という雲行きでしたから。ですが、こればかりはどうにもならない。雨が降り出す前に早々にテントを組み立てることにしたのです――なんか、主題がずれてるような気がしますが(苦笑)

「じゃ、一緒に引っぱってください」
「せーのっ」

もうそんな水の心配などどこ吹く風。テントの設営におおわらわでした。モノが巨大なだけに、とても一人では広げられないのです。そのおかげでいつも助かっているのですけど(笑)

 
テント組立風景。斜面ですね(笑)
 

無事にテンとも組み上がり、各自ゲームの準備です。
用意はつつがなく進んで、後は弾即測定だけとなったとき――まだマッちんの準備だけが終了していませんでした。が、そんな状況をまったく意に介さず、いつものパフォーマンス炸裂です。

「今朝よぉ、オラ裏の山でとってきただ」
「これさ、マーケットで売って昼飯買うんだぁ」
「おめらも欲しいか? ん?」

   
獲物を自慢するマッちん。
でも、それは何?
   

「いいから早く準備終わらせて。次いくよ」

ユキさんの冷静な突っ込みに、さすがのマッちんも慌てて準備再会です。しょうがない人(笑)

そうして全員がそろって弾速測定です。

 
弾速測定風景。
 

ユキさん、イズミさん、局長と何の問題も無く測定は終わりました。が、ノンノン提督とマッちん、そして事もあろうか私まで、なぜか一度で終わらせる事ができなかったのです。四苦八苦してどうにか終了。それを見ていた局長は一言。

「やっぱりクセのあるヤツだけ一回じゃ終わらんな(爆笑)」

そういう自分が一番癖があるくせしてからにぃ〜 ま、これがうちらのいつものやり取りなんですが(笑)

そこまで終わってしまっても、まだまだ開会式まで余裕があります。

「じゃ、どうせ集まるんだから、フリーマーケット見てみましょうか」
「うん。何かいい物あるかもね」

開会式が行われる場所に、今回も個人参加のフリーマーケットが出ていたので、移動をかねてさっそくの探検です。

 
移動中です。
 


ですが、同じような事を考えている人達は多いようで、もうそこにはたくさんの人影がありました。慌ててその中に突入したのはいうまでもありません。

「オッちゃん、これいくら?」
「これは売りもん?」

所狭しと置かれている品物を前に、もう各人、物欲魔人モード全開です。特にマッちんは、今回もなぜか電動ガンの箱を手にしていました。どうして毎回毎回エアガンを購入するんでしょうか、この人は。その他にも、色々とわけのわからない物を抱え込んでいたのは黙っている事にいたしましょう(笑)

 
戦利品を自慢するマッちんとユキさん。その脇には元祖物欲魔人のお姿が(笑)
 


元祖・物欲魔人のノンノン提督も、長年探していたというイギリス軍の弾薬納を手に入れてご満悦でした。本人いわく、

「これはあのサンダース軍曹がトンプソンのマガジンケースとして使っていたから欲しかったんだ」

確かにそれは間違いないのですが、あくまでも相手はサンダース軍曹であっての事。間違ってもパンパース軍曹の事ではないと思いますが・・・・ね、提督(爆笑)

そうして各自いろいろな戦利品を抱え込んだ頃、開会式の時間が近づいてきたのです。しかし、あまりにも荷物が多すぎるという事で、慌ててセーフティーへと持ち帰っての再度集結となりました。なんだかねぇ・・・・(苦笑)

そうして開会式が始まりました。

今回も、前回評判のよかったコントを交えてのルール説明です。(え違う? 苦笑) ただ、さすがに以前のようなぎこちなさと気恥ずかしさが混じった、なんともいえない妙なノリはなくなっていましたけどね。でも、やっぱりコントはコントでしょう(笑)

 
いまや名物、説明の寸劇コント(苦笑)
 


続いてこの大会の目玉である復活の鍵を握る『衛生兵』役3人の選抜です。南越・米帝連合側は志願者によりすんなりと決定いたしましたが、北越・解放軍側は志願者一人という状況でなかなか決まりません。そこで主催者側からの指名(強制徴用という話も 笑)されたのです。が、これがまた凄かった。

「おいおい、アレじゃ助かってもヤバいんじゃない?」
「そうだよなぁ、完全三点セットだもんなぁ」

決まった三人の姿を見るなり、そんな言葉がささやかれました。が、無理もない事です。何しろ決まったのがこのメンバーですから(笑)

 
人民兵が助けて、ソ連軍顧問が拷問して、お坊様が成仏させる――

オレら味方じゃん(爆笑)

 

そうして最後にベトナムの方向へ全員で黙祷です。我々はお遊びですが、本当の戦いでは何万という人が無くなっているのですから――

しかし、ゲームはゲーム。楽しまなければ意味がありません。開会式が終了すると同時に、ゲーム開始に備えて各自最後の点検に余念がなかったのでした。
が、ここでもやはりマッちんは違っていました。ゲームそのものの準備よりも、先ほど手に入れてきた戦利品の確認に余念がなかったのです。

「ああっ、これってSV !?」
「どうしたの?」
「足がない・・・・」

そうです。ノーマルタイプには付いているはずの二脚がなかったのです。なんでも内部のグレードアップのあおりを食らって、コストダウンで削られたのだとか(ホントか?) ま、今日のゲームには使えない物なので問題はない(はず)ですが、彼の落ち込みは見てて思わず笑ってしまうほどでした。買うときはちゃんと確認しようね。

そうこうしているうちに時間となりました。とたんに響き渡る大号令。

「スタートッ!! 突っ込めーッ!!」
「おおーっ!!」

雄叫びを上げながら、完全装備の武士たちがフィールドへと飛び出していきます。
いよいよノンストップゲームの開始です――

 
 
 
 

★★★★ 今編の漢 ★★★★

 

駐車場で見つけました。なんといったらいいか・・・・もう何もいえません。まさに『漢』!!

 
   
         
     

傷はともかく、説明はしないでしょう。しかもマジックで書いてまで・・・・(苦笑)

 
 

 

中 編

戻 る

inserted by FC2 system