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「まずは、カルビ村の同志農民を脅かしている、米帝勢力を排除する」 号令一過、隊長殿を先頭に出撃です。 そんな不安は、大泉の母も真っ青なくらいの確率で、すぐに現実のモノとなったのです。 「なんだぁ、こりゃ?」 出入り口を左に曲がっての一本道。そこを使わなければ動けないのですが、まるで米帝が仕掛けたかのようなトラップがあったのです。大きな倒木。それが完全に道を塞いでおりました。確かに前回もありましたが、今回は本数が増えているような・・・・気のせいでは ―― 無いですね。 「工兵隊を呼べ。爆砕処理だ」 当然といえば当然ですが、我々はそこを乗り越えていかなければならないのであります。まぁ、いまはまだ元気なのでよいのですが、後々の事を考えると頭が痛い。いや、頭よりも股の方が辛いかも。一歩では跨げない代物なんで(笑) なんてバカはおいといて、半ばよじ登るように乗り越えると、もう後は勢いに任せての突進あるのみ!
でした。が、けっこう高齢な人達が多いため、すぐにへばってしまうのが玉に瑕(笑) 「い、いまどの辺?」 もう肩で息をしながら、何本目かの分岐点で現在地を確認します。地図によればもうそろそろのはずなんですが・・・・ 「あ、あった」 声のする方に目を向けると、道を伝った木々の向こうに、なにやら場違いなほどに青い物が見えました。そうカルビ村です。 「米軍の姿は?」 曲がり角に隠れながら様子をうかがっていたときでした。
「うぎゃぁ〜」 いきなり悲鳴が響いたのです。続けざまに飛んでくる弾。事態を確認する間もありません。慌てて身を伏せますが、たちまちのうちにあふれかえる被弾者達。奇襲をかけるつもりが、逆に待ち伏せの真っ只中に飛び込んでしまったようです。 「バクシィ〜」 「おか〜ちゃぁ〜ん!」 「天皇陛下バンザーイ!!」(!?) あちこちで起こる救助の叫びに、救護兵が飛び回り手当てをする中、我々は残存兵力で攻態勢を立て直して攻撃再開です。
通り向こうの藪の中からも攻撃を受けているため、一気に通りを攻め上るという事は難しい。手前の藪の中を進んで行くというのが正攻法でしょう。 「待ってられるかぁ〜」 ムボーにも通りへ飛び出してみるものの、手荒い歓迎が行く手を阻みます。慌てて近くの茂みの影へと飛び込む始末。しかし、そこで諦めないのがやっぱり漢。飛びくる弾をかいくぐりながら、海上ならまるで広瀬中佐だといわんばかりに、ジワリジワリと進んでいきます。
「チャーンスッ・・・・!?」 多少攻撃の薄くなったその瞬間、ここぞとばかりに飛び出します。が、とたんに半身に感じる激痛。思いもしない横手の茂みからでした。そういえば、いたんだよなぁ確か・・・・ ―― 後から前から どうぞ。後から前から どうぞ・・・・ ―― なんてこと考えたところで、蜂の巣になれば即死は必定。スゴスゴと戻って行くしかありません。しかし、思い切り撃たれるのって気持ちいいんだよねぇ〜(苦笑) そのときでした。 「て、撤収〜〜」 あまりにも甚大な被害に、とうとう撤退命令が出されました。そりゃ、半分以上転がっちゃえば仕方ないよなぁ。 そうして潰走のごとく陣地へと戻ると、メンバーのグチが聞こえてきました。 「せっかく村の直前まで近づいたのに、村にいた子供が居場所教えちゃうんだもんなぁ。味方と違うんかい!!」 あらら、それは災難だった事。じゃ、あのときの音って・・・・(笑) でも、さすがはヴェトコン子。最狂の名は欲しいままにしてるんですねぇ(苦笑) 続く・・・・ |
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